2024.10.12:
YouTube「特別寄与料 使える制度なの?」をアップしました
前回に引き続きまして「事前準備で9割決まる!
相続の基本と最新の対策がわかる本」の中から、
ポイントをお伝えしたいと思います。
今回の内容がよければ高評価ボタン、
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令和元年7月から、
亡くなられた方の生前に無償で療養看護等の
労務提供をして財産の維持又は増加に寄与した
「相続権のない親族」は「特別寄与料」を
相続人に請求出来るようになりました。
実は以前から「特別寄与料」と似た制度で
「寄与分」という制度がありました。
これは、無償とは条文に明記はないものの、
亡くなられた方の財産の維持又は増加に
特別の寄与をした「相続人」に認められる相続分です。
つまり「寄与分」は相続権のある人に認められ、
「特別寄与料」はいわゆる懸案だった
「長男の嫁」など相続権のない親族に配慮した制度なのです。
ちなみに親族とは6親等内の血族、3親等内の姻族を指します。
ついでに言うとお世話になった友人や知人は当然認められません。
新しい制度で親族全体にまで請求権が広がって良かったね、
と普通は思いますが、
制度発足から5年経過した現在も
利用されたという話はほとんど聞かれません。
それは「特別寄与料」を請求する親族に、
相続人との「交渉力」が必要になるからだと考えられます。
相続人との間で協議が調わない、
あるいは協議が出来ないときは家庭裁判所に対して
「協議に代わる処分」を請求できますが、
これには期限があって、
相続開始と相続人を知ったときから6ヶ月を経過、
又は相続開始の時から1年でこの請求は出来なくなります。
裁判官は、特別寄与料の額を、寄与の時期、方法、程度、
相続財産の額その他一切の事情を考慮して決めますから、
ある程度の資料を予め揃えておかなければなりません。
以上の点から非常にハードルが高い制度と言えます。
結局のところ、この制度を使わずに
寄与してくれたことに報いるとなると、
感謝の意を込めて相続人以外の方に財産を渡せる制度、
つまりお世話になっているご本人が「遺言書」を作成する、
というところに帰着するのだと考えられます。
相続権のない親族にお世話になっている方は、
遺言書の作成を手遅れになる前に
されておいてはいかがでしょうか。
#特別寄与料 #寄与分 #遺言書