2024.09.27:
YouTube「おしどり贈与 戻さないでOK!」をアップしました
前回に引き続きまして
「事前準備で9割決まる!
相続の基本と最新の対策がわかる本」の中から
ポイントをお伝えしたいと思います。
従来から婚姻期間20年以上の夫婦間で
配偶者に自宅を贈与すると評価額2,000万円までは
贈与税の対象から外せる制度がありました。
いわゆる「おしどり贈与」と呼ばれるものです。
これは現物だけではなくて現金、
つまり自宅を購入する際の資金として
配偶者に贈与する場合にも適用があります。
以前はこの2,000万円について、
贈与した側に相続が発生した時に
「特別受益」と称して相続財産として持ち戻し、
つまり相続財産に加えた上で各相続人の相続分を
計算していました。
そうすると必然的に配偶者が主張できる財産は
その分少なくなります。
ところが令和元年7月からは、
これを「特別受益」とせず、
相続財産に加えなくて良くなったのです。
結果、配偶者の主張できる財産が増えたわけです。
これは前回ご紹介した「配偶者居住権」と
考え方を同じくするもので、残された配偶者が
より多くの財産を取得できるように、
長期にわたる生活を安定させる効果をもたらすことができます。
特に、相続人の構成が「先妻の子と後妻」という組み合わせで
関係性が微妙な場合、配偶者に有利に遺産分割ができます。
ここで國松なりの注意点をお伝えしておきます。
1点目: 婚姻期間は戸籍上の婚姻届を役所に提出した日から
起算しますので、記憶が曖昧な方は必ず戸籍謄本を取得して
婚姻期間が20年経っていることを確認してから贈与を行ってください。
以前当方のお客様で1ヶ月ほど足らず、
慌てて贈与を取り消したというケースがありました。
ちなみに事実婚や内縁関係では制度の適用はありません。
2点目: 贈与税がゼロでも税務署に贈与税の申告しなければ
この制度の適用は受けられないということです。
これは贈与を受けた人がその住所地を管轄する税務署に
翌年の2月1日から3月15日までに行います。
3点目: 登録免許税や不動産取得税といった
コストがかかるという点です。
登録免許税は相続よりも贈与の方が高いですし、
不動産取得税は相続ではかかりませんが贈与だとかかります。
以上のような注意点はあるにせよ、
長寿社会の配偶者に寄り添った制度変更は
とてもありがたいことですね。
#おしどり贈与 #特別受益 #持ち戻し