2016.04.27:遺言
最近の裁判例で遺言についてのものはありますか?
2015年11月20日こんな最高裁判決がでました。
遺言が発見されたとき、すでに開封済み。
遺言全体に赤ボールペンで斜線が引かれていました。
でも、判読はできます。
はたしてこの遺言は有効か、無効か・・・
有効と判断したのは地裁、高裁
→単なる斜線は法に定める訂正とはならず、遺言撤回でもなく、
有効
ところが、
無効と判断したのは最高裁
→故意に斜線を引く行為は「故意に遺言書を破棄したとき」
に該当
よって遺言は撤回したものとみなされる
つまりこの遺言は無効である
形式的に判断したのが、地裁高裁。
それに対し、遺言者の真意をくみ取ったのが最高裁。
結局最高裁の判断が今後引き継がれます。
誰か別人が斜線を引いたかどうか、そこにもかなりのポイントが
あったと思います。
遺言は相続人が経営する病院の麻薬保管庫にあったとのこと。
改ざんの可能性は低い、と最高裁は判断したのでしょう。
遺言者の真意をくみ取り、その通り実行するのが
遺言制度の真骨頂・・・そこを最高裁は示したのだと
私(國松)は思いました。