2015.10.07:成年後見

信頼のおける弟に任意後見人を、遺言執行者に代表國松を指定された事例

Aさんにはお子さんが一人いました。ご主人はすでに亡くなっています。

Aさんとお子さんとの間は、お子さんが幼少のころ養子に出され、
音信不通になり、その後ご主人と結婚されました。
ですので、法定相続人はお子さんのみです。

Aさんには面倒見の良い弟Bさんがいました。

Aさんは独り暮らしですが、体が不自由なので、
Bさんが電車で1時間くらいのところから
週に1回見守り、お手伝いにきていました。

Aさんは世話になっているBさんに全財産をあげたい、とのことで
遺言を書くために当事務所へ相談に来られました。今後の生活が心配なため、
どのように生活すれば安心できるかもあわせて相談に来られました。

まず、遺言については養子に出たお子さんにいくらかでも残してあげていただく、
というご提案をしました。

総資産は約8000万円でしたが、1000万円分の金額を
その方に相続させる、という内容で、それ以外をすべて
Bさんに遺贈する、という内容になりました。

お子さんには遺留分に満たない額ですが、少しでも誠意を見せることで
納得してもらおうと考えました。

法律のことがよくわからないとおっしゃるAさんとBさんに
遺言執行者を代表國松に、という案をご提示し、
その通りとなりました。

任意後見契約については、財産管理から入れるよう、
移行型を選択し、AさんとBさんとの間で締結していただく
内容の案を当事務所で作成し、公証役場に持ち込みました。
そして、公証役場では遺言と任意後見契約を同日で行いました。

その後、2年5か月がたち、Aさんが亡くなられました。

結局財産管理契約と任意後見契約は発効しなかったようですが、
そのまま当事務所で遺言の執行をすることとなりました。

お子さんには遺言を開示し、1000万円いただけるのは
とてもありがたい、とのことで粛々と手続きは進んでいきました。

親子の縁は切っても切れない・・・少しの愛情でも
遺言によって注いでおくことでお互いがすっきりする、
そんなことを考えさせられた事例でした。