2015.05.20:遺言
相続でもめる可能性のある子供(兄弟)間で遺言で遺留分に配慮した事例
Aさんの夫Bさんはすでに他界されていました。
子供であるCさんとDさんは兄と弟の関係です。
Aさんは若干認知症気味ではあるのですが、ぎりぎり遺言が
書けるレベルです。
Dさんは精神状態が不安定なことから、ABCさんと
仲良くできてはいませんでした。
Dさんは奥さんと子供もいてABCさんとは少し離れたところで
暮らしていました。
AさんとCさんは当事務所に遺言のご相談に来られ、
「Aさんの気持ちとしては、全財産をCさんにあげたい」が
そうしてしまうと、Dさんの遺留分減殺請求は免れないと
当事務所がアドバイスしました。
また、Aさんの判断能力が不安定なことから、
主治医の診断書をもらっていただくことにしました。
Aさんの財産は自宅の土地家屋と他人に貸している土地です。
金融資産は少しありますが、他人に貸している土地は
Aさんは売りたいと考えています。
そこで、
Aさんの生存中に売却できればその金額の一部をDさんの相続分に充て、
生存中に売却できなければ、不動産の持分でDさんに持たせてあげよう、
ということになりました。
これをDさんの遺留分を満たす形で、概算ではありますが計算をして
生前売却できたら売却代金を2つの口座に振り分け、その口座を
CさんとDさんにそれぞれ相続してもらうようにしました。
売却できなければ土地の持分をそれぞれ相続させる、という遺言にしました。
共有になってしまい、通常なら管理が難しく、避けたいところですが、
売却することが前提なので、そう問題にはならないだろう、
という結論になりました。
もちろん公正証書遺言にしたので、遺言書案を当事務所で作成し、
近くの公証役場に同行させていただきました。
わかりやすい遺言になったことで、
Aさんにはとても喜ばれ、Cさんも相続の不安が解消し、
平穏に暮らせると喜んでいただきました。