2015.07.01:事業承継
家族信託を利用して中小企業の事業承継は可能ですか?
はい、可能です。
未上場の自社株を100%保有するオーナー社長の場合、
後継者に株を贈与して将来的に経営を任せたいと考えているが、
まだ完全に引退するわけではないので、代表権も経営権も
自分のもとに残しておきたい、と考える経営者は多いものです。
たとえば、創業者Aさんが自己信託を組んでAさんを受託者とし、
将来の後継者Bさんを受益者として、Aさんは受託者として引き続き
議決権を行使できるようにします。
Aさん死亡でこの信託が終了するようにし、その際後継者Bさんが
株を取得してBさんがやっと議決権まで行使できるようになります。
受益者をいきなりBさんにすることで、贈与税の問題があるのは事実ですが、
業績が悪ければ課税されずに済む場合もあります。
種類株を活用して事業承継するパターンもありますが、
定款変更や会社の登記を変更しなければなりません。
はっきり外部から事業承継を悟られてしまうことになります。
後継者が実は適任ではなかった場合など、株を所有権として持っている
ということでリスクになってしまうこともあります。
その点、信託の場合、後継者が適任でなかった場合に、
受益者を変更することもできるので、
自由度が高いといえるでしょう。