2020.04.23:相続

配偶者居住権とはどんな制度ですか?

令和2年4月1日以降に発生した相続に適用される

相続に関する新制度です。

大きく分けて2種類あります。

 

(1)配偶者短期居住権

これは亡くなられた方の所有建物に無償で居住していた配偶者が、

遺産分割完了までの間(最低6ヶ月)引き続きその建物を

無償で使用できる権利です。

これにより、仮に遺産分割までの間有償で貸していた場合の

家賃相当額の使用利益は精算する必要がない、

ということになりました。

 

(2)配偶者居住権

配偶者以外の相続人が相続で配偶者の居住していた建物を取得した場合、

配偶者に終身または一定期間、その建物の使用を認めるものです。

この権利は登記が必要になります。

これを配偶者が取得するには、

遺言ならば「相続させる」ではなく、

「遺贈する」と書く必要があり、

遺言がない場合は遺産分割で配偶者がその権利を

得ることができます。

 

平たく言うと、

建物の権利について所有権が2段にわけられる、すなわち

「負担付所有権」と「配偶者居住権」の2つに分けられる

ということになります。

 

この権利を配偶者が取得する効果としては、

居住用不動産以外の預貯金等の金融資産を

多く受け取れるというメリットがある、

つまり、老後の生活資金を多く受け取れる、

可能性があるということです。

 

ちなみに、

配偶者居住権は配偶者だけのものですので、

誰かに引き継がれることはありません。

負担付所有権を持っている方との合意や

配偶者による配偶者居住権の放棄によって

この権利は消滅します。

また、その所有者が放棄されたときに対価を

支払わなかった場合、贈与とみなされて、

贈与税がかかります。

 

また、配偶者居住権が期間満了や配偶者の死亡で

消滅したときは、相続税も贈与税もかかりません。