2024.10.26:成年後見

実務雑感vol.53~成年後見

老後資金問題で思うこと
 
私は昔から何度も同じ質問を受けます。
 
「後見人はご本人に十分な資産があったとしても
遺留分を請求するのですか?」
 
遺留分とは、相続人に最低限保証された
遺産取得分のことで
兄弟姉妹、甥姪にはありませんが、
それ以外の相続人にはあります。
 
遺言で相続を受けるにあたり
遺留分に足りない、あるいは全く相続できないが
相続人であるご本人に十分な資産があるので
遺留分の請求はしなくてもよいのでは?
 
そのように考える方がいらっしゃいます。
 
ご本人にしっかりした判断能力があれば
「自分は十分財産があるから、
遺留分は請求しない。」という判断も
可能でしょう。
請求するしないはご本人の自由なのです。
 
ところが後見人はそうはいきません。
 
ご本人の保護、利益確保のために
動かなければならないため、
もし遺留分侵害額請求をしなかったら
職務懈怠となってしまいます。
 
後見人は遺留分だけではなく
使える制度、お得な制度、公的制度、
あらゆるものを調べて請求します。
 
老後資金・・・
 
もし自分が呆けてしまったら足りるのか
誰かに財産管理をしてもらうとなると
それが家族であれ後見人であれ困らないか。
 
実は自分でなんとなく財産管理するよりも
早くから財産管理のプロである
後見人に任せることができれば
老後資金は安心なのかもしれません。