2020.02.27:遺言
実務雑感vol.2〜遺言
昨年10月のこと、おつきあいの長い某信託銀行さんから
「自筆証書で遺言を書かれた方がお客さまにいらっしゃり、
亡くなられたのですが、遺言執行者が書かれていないようなので、
なっていただけますか?」
とのお話をいただき、いろいろ悩んだ挙句お引き受けしました。
家庭裁判所から正式に選任していただきました。
私は普段から遺言として確実な方法である公正証書遺言を
推奨しているので、自筆証書と言うと構えてしまいます。
最近は皆さんどこかで勉強されて遺言の形式は整っていて
有効な遺言を書かれる方も多いのだけれど、
内容的には解釈の仕方に何通りかある!
つまり、真意はご本人にしか分からない、というような
微妙な⁉︎内容のものが散見されるからです。
遺言の解釈は、文言を形式的に判断するだけでなく、
全文との関連、作成当時の事情、
置かれていた状況などを考慮して真意を探求すべき
というのが最高裁判所の見解です。
今回は真意の探求にあたり若干疑義がある内容です。
遺言執行者として預金の残高証明書の発行、解約と
進めていくのですが、案の定、ある巨大銀行から
私の解釈とは違う主張をされて難航しました。
私の考えるご本人の真意を担当者に電話でしっかりと伝え、
さらに本社宛に「経緯書」も作成して送ったところ、
ようやくその銀行を納得させることができました。
今はやっとこの仕事をお受けしてよかったと
思えるようになりました。
相続法が改正され、昨年1月13日から自筆証書遺言を
作成するハードルが下がりましたし、
今年も7月10日から自筆証書遺言の法務局での保管制度が
スタートするので、より一層自筆証書遺言が普及する
可能性が増えていきそうですが、
「故人の意思が解釈の余地なくしっかり実現出来る遺言」
を書けるようなお手伝いをしないといけないなと、
今まさに痛切に感じています!