実務雑感vol.15~遺言&家族信託
「本人の意思の尊重」
これって、福祉の世界でだけ使う言葉?
大切だけれどちょっと扱いにくい言葉だと最近思います。
例えば、ある方に
「遺言書を作っておいた方がいいです」と
提案したとします。
ところが、分かっていても面倒くさいから
その方は手をつけようとしない。
結局周りの言うことを聞かず、
自分の想いだけノートに連ねてそのままTHE END。
正式な遺言書と認められないので、
その内容に異議があれば相続人間で揉める。
その方に尽くしてきた人が憂き目を見る・・・
そんなことは往々にして起こります。
遺言書だけではありません。
家族信託の提案でもそうです。
必要性は十分感じていただいたのだけれど
腰が重い。
そうこうしているうちに認知症になり、
なにも手が打てなくなる・・・
ご家族は右往左往する。
私はその方が遺言書を作成したり、
家族信託に取り組んでいただくのは
本人の意思に任せるべきと思ってきましたが、
最近はそれで後悔することが多くなりました。
もっとゴリゴリ押すべきだったのではないか、とか
もっと干渉するべきではなかったか、と
専門家として無力感にさいなまれることが
あるのです。
「本人の意思の尊重」
この言葉とは一定の距離を置かなければならないなと
思っています。