2015.09.23:家族信託

民事信託と成年後見の決定的違いはなんですか?

民事信託、家族信託と成年後見制度との違いはズバリ、
「身上監護」という点にあります。

「身上監護」とは、
本人が快適に、人間らしく暮らせる環境を整えて
あげること、と説明したらよいでしょうか。

信託は委託者本人の意思を尊重して、
その想いを実現するために
財産の管理、活用、処分、承継など
財産に関する様々なことができます。

成年後見制度においては、本人の保護という観点から
財産の管理が基本となり、限定的ではありますが、
活用、処分も一応可能です。

ところが、身上監護においては、
民事信託、家族信託においては契約に盛り込むことが
できません。

つまり、受託者と言って財産を託された人は
その部分については何もできないのです。

施設の入所契約など、財産にかかわらない部分
についての本人へのフォローについては、
信託では契約に盛り込むことができません。

あえて言うなら、
介護、入院にかかる費用の支払いが円滑にできるように
信託契約の中で配慮した内容にする、といったこと位です。

そこで、
身上監護を補うため、
信託を利用するとともに、任意後見契約も
あわせて締結しておく必要があるのです。

民事信託(家族信託)と任意後見は
「車の両輪」と言っても過言ではないでしょう。