2015.02.25:生前贈与

相続時精算課税制度を利用したものの、最終的には断念した事例

お母様Aさんから一人娘Bさんへの不動産の贈与のケースです。

すでにお父様は他界され、一人っ子のBさんは、以前Aさんとお父様が自宅として住んでおられた地方の土地家屋のことで悩まれていました。
その土地家屋はAさん名義になっています。

AさんはBさんの自宅住所に住民票を移し、近くの病院に入院しています。長期入院になるとのことで、地方の自宅には戻らないことが決定していました。地方の土地家屋の管理は高齢で入院しているAさんには難しいことから、Bさんは自分の名義にしたいと考えるようになりました。
地方の土地家屋とはいえ、評価は1000万円以上するので、そのまま贈与を受けたのでは数百万円の贈与税がかかってしまいます。

そこで、相続時精算課税制度を利用して土地と家屋の贈与登記をすることにしました。
その登記は無事に終わったのですが、Bさんは税理士を利用せず、自分で申告をするとのことだったので、当事務所から翌年3月15日までに相続時精算課税制度を利用する旨の申告を税務署にしていただくご連絡をしていましたが、Bさんは失念しておられたようです。結局申告をしませんでした。

その結果、税務署から「お尋ね」が来てしまい、言い訳ができず、結局贈与登記は全部ではないものの、一部なかったものにすることになりました。「所有権の一部移転」とする更正登記を行い、事なきを得ました。

このように特別な税制を利用する際は、「翌年3月15日までに必ず申告する」というような厳格なルールがあるので、これを肝に銘じなければなりません。