2015.10.14:相続

遺言で相続財産を全部ある知人に遺贈する場合、その通りにならないことがありますか?

可能性としてはあります。

遺言はどんなものでも、その有効性が問われる時があります。

方式不備は公正証書遺言にすることで回避できるかもしれませんが、
自筆証書遺言の場合はリスクがあります。

また、遺言する方の能力の問題もあります。

遺言したとき、すでに認知症になっていたのではないか、
そうだとすると本当に遺言をする能力があったのか、
そういったことが問題となり、
いざ亡くなられたときに遺言の有効性について
裁判になることもあります。

また、誰かに全部あげたい、つまり
全部遺贈する、とした場合、
それがそもそも相続人でない場合でも
「包括受遺者」ということで
相続人と同じ扱いを受けます。

その場合、遺贈を受ける方が
遺贈を放棄する、つまり相続を放棄する、
ということも可能性としてあります。

そうすると、
原則通り家庭裁判所に相続放棄の申述をしなければ
なりません。

放棄された場合、もともとの相続人に
権利が戻ります。

また、当然ですが
遺留分がある相続人がいる場合、
遺留分に配慮がないと、遺留分減殺請求をされてしまい、
遺言どおりにならない、ということも
可能性としてあるでしょう。

以上のことから、遺言をしっかり執行されるようにするには

公正証書にする
呆ける前に作る
もらう方に受け取ることの了解をもらう(根回しする)
遺留分に気を付ける

といった工夫が必要で、
なおかつ慎重に作成する必要があるのです。