2015.08.26:遺留分放棄

遺言とセットで推定相続人が遺留分放棄をした事例

あるハウスメーカー様のご紹介のお客さまの件です。

Aさんはご主人をすでに亡くされ、お子様はBさん(長男)
Cさん(長女)、Dさん(次男)、Eさん(三男)の4名で
推定相続人です。

Aさんはご自分の土地にアパートを建築されようとしていて、
その部分の土地建物を含め、すべて面倒をみてもらっているCさんに
相続してもらおうと考えました。

アパート建築のため、Aさんは借入を起こすのですが、
その借金もすべてCさんに引き受けてもらうつもりでいます。

そこで、AさんはCさんに全財産を相続させる、という遺言を遺すべく
公正証書遺言の作成支援を当事務所にご依頼になりました。

ただ、これだけでは片手落ちで、
遺留分減殺請求を他の3名の相続人からされることは阻止したい、
遺言通りに財産を承継させたいとのことで、
遺留分放棄の許可の審判をもらえれないか、
とのご相談もあわせていただきました。

まずは、AさんからCさんにいろいろ普段から世話をかけ、
借金つきのアパートまで相続してもらうので、BさんDさんEさんに
その旨を説明して、快く放棄にご賛同いただくよう、
お願いしていただきました。
あくまで、強制でない形で!

当事務所からも
遺留分放棄の意味するところ、その効果をそれぞれの方にご説明さしあげ、
あくまでも自発的に遺留分放棄をしていただく、ということを
強調の上、ご賛同いただきました。

公正証書による遺言の作成も
遺留分放棄の申立も無事完了し、許可の審判が全員分おりました。

正直、借金がなければ、遺留分を有する相続人の方々から
ご賛同を得られるか、自信がありませんでした。

放棄は強制ではない・・・でもお願いしなければ放棄はだれもしない
遺留分放棄の制度の矛盾を痛感させられた事例でした。