2015.08.19:相続

遺言のメンテナンスの必要性を実感した事例

もっともおつきあいの長い金融機関さまの遺言信託のお手伝い
をしたケースでの出来事です。

14年前、ある方の遺言作成にあたり、必要書類の収集などの
お手伝いをしました。

その後は何もなかったのですが、5年前にご本人が亡くなられました。

いざ遺言執行となって、必要書類をまた当事務所で収集することに
なり、財産を受ける予定の方が亡くなられていることがわかりました。

相続人は奥様、お子さま2人の計3名で、ほとんどの財産はその3名さまに
相続させる、となっているのですが、地方にある不動産については、
弟さまに遺贈する、という遺言になっていて、
地方の不動産だけが受け手がなく、浮いてしまう形になってしまったのです。

受遺者が亡くなられたり、ご本人の生活環境が変わったりすると、
遺言の書き換えをしたり、推定相続人を再度調査する、ということも
しばしば行われます。

この案件は、ご本人が病気で長く入院され、奥様も認知症になられたり、
お子さまたちもお忙しかったので、遺言のメンテナンスができなかったようです。

結局浮いてしまった不動産については、相続人全員で遺産分割協議を
行い、名義変更しました。

その後どうしたかというと、

その名義人の方から弟さまのお子さま3名さまへ贈与の登記を行いました。

故人の遺志は、「弟に無償であげたい」ですから、
この不動産の行きつく先は結局弟さまの相続人なのです。

幸い、評価額も数百万円であったため、
贈与税は高額にならずにすみました。

よかった、とほっと胸をなでおろした、
そんなケースでした。